2026年1月にBoothで公開された新作のワールドカテゴリから、スキを多く集めた10点をデータと一緒に振り返ります。ワールドは、アバターや衣装のように着せ替えて持ち歩くものではなく、Unityのシーンに「置く」か、Udonで「動かす」かたちでVRChatに持ち込む、少し経路の違うカテゴリです。実際1月のTop 10も、完成した部屋まるごとのワールドは2点だけで、残りは地面を這うフォグ・光る魚群・足音システム・プリ機ギミック・アクリルのパーテーション……と、誰かのワールドに置かれる「パーツ」が大半を占めました。大きく分けると、①そのままアップロードできる完成ワールド、②シーンに置くだけのアセット(パーティクル・シェーダー・家具・乗り物)、③Udonで動くギミックシステム の3タイプで、1月は②と③が厚い月。中央値価格¥650、無料3点を含めて¥1,000未満が約半分と、1個のいいアセットがあれば参入できるカテゴリの性格がそのまま並びに出ています。
📊 データについて 集計日: 2026-06-05 / 対象: 2026-01-01〜2026-01-31 に公開されたスキ数300以上のワールド(29件)
- 注目ワールド10選
- 1位:もくもくフォグパーティクル / NORIBEN LUNCH
- 2位:RARAの足音ギミック / RARAlabo
- 3位:RBS SmartJoinLog / らずべりー工房
- 4位:ネオンテトラパーティクル / NORIBEN LUNCH
- 5位:Calmium / bろくく
- 6位:AYATECH HoverPlane Flyingfish / あややねさんのおみせ
- 7位:置くだけ!リアルな海シェーダー / 西風楽団
- 8位:プリ機ギミック【めんだこプリ】 / めんだこすいさん加工センター
- 9位:Partition×4 / Toraba Store
- 10位:Homely Room / Mimorie.
- 2026年1月の傾向
- まとめ
注目ワールド10選
集計時点(2026年6月)のスキ数で並べたランキング形式で、1点ずつ中身とボリュームを見ていきます。
1位:もくもくフォグパーティクル / NORIBEN LUNCH
地面をもくもくと這うフォグのパーティクルアセット。ライブステージの足元、温泉の湯けむり、ワールド全体の空気感づくりまで、1つ置くだけで空間の密度がぐっと上がるタイプで、1月のワールドカテゴリでは最多スキを集めました。
中身は1種類ではなく、普通のビルボード版と、視点を動かしてもメッシュがぐるぐるしない「VRでも自然な見え方」版の2種類 が入っていて、それぞれ大・中・小・ミニの4サイズ。VRC Light Volumes に対応していて、ワールド側のライトの色をフォグが受けられるので、夕暮れのオレンジでも夜の青でも空気ごと染められます。デプスバッファを使ったソフトパーティクルやカメラ距離フェードなど、板っぽさを消す処理が一通り入っているのも、撮影で寄ったときの質感に効いてきます。¥1,200(チーム利用は¥3,600)。
このフォグを出している NORIBEN LUNCH さんは、4位のネオンテトラパーティクルをはじめ、ライト演出や鳥の鳴き声パーティクルなど空間演出系を同月にいくつも公開 していて、1月のワールド演出系をかなりの割合で1人で担っていました。空間に「動き」と「奥行き」を足すパーツに特化したショップで す。
2位:RARAの足音ギミック / RARAlabo
ワールド内を歩くと、移動に合わせて足音が鳴るUdonシステム。自分だけでなく他のプレイヤーの足音も再生 され、歩きと走りを移動速度から自動で判別、さらに足元の床の材質を見て音を切り替えるという、没入感を音から作りにいく1点です。¥200。
導入は用途で2段階。「どこを歩いても同じ足音でいい」なら FootstepsManager を置いて音を登録するだけ。「ここはカーペット、ここは金属」と床ごとに変えたいなら、その床に FootstepSurface を足して個別の音を入れる、という設計です。負荷面も、遠いプレイヤーの足音は計算しない距離間引きや、AudioSource を使い回すオブジェクトプーリングがあらかじめ組まれていて、人が増えても破綻しにくいように作られています。
商品説明の最後に「サンプルの足音は自宅にあった靴で録音しました。自分で足音録音するの楽しいのでおすすめです」と添えられているのが、いかにもワールド制作の手触りで楽しいところ。視覚ではなく音で空間を仕上げるという、衣装やアバターとはまた違う作り込みの入り口です。
3位:RBS SmartJoinLog / らずべりー工房
インスタンスのジョイン履歴を全部記録して、スクロールで遡れるジョインログギミック。VRChat標準だと「自分が入る前のログ」は見えませんが、これは後から入った人にも過去の入退室がすべて同期される のが核で、長時間立てっぱなしのワールドほど効いてきます。
透明パネルに [Join] / [Leave] がタイムスタンプ付きで積み上がっていくシンプルな見た目で、らずべりー工房さんの睡眠系ワールド(「雨音と共に」「おやすみの夜」)で実際に使われているもの。寝落ち中に誰が来て誰が抜けたかを後から確認できる、というV睡(VR睡眠)文化に根ざした実用ギミックです。価格は¥500です。
足音(2位)と同じく、ワールドの体験そのものを底上げする「仕組み」側のギミック で、見た目の派手さよりも「あると気が利く」方向の作り込み。こういう縁の下のシステムが上位に来るのも、ワールドカテゴリならではです。
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4位:ネオンテトラパーティクル / NORIBEN LUNCH
1位のフォグと同じ NORIBEN LUNCH さんの、青く光るネオンテトラの群れが空間を泳ぎ回るパーティクル。ワールドのコライ ダーにぶつかると方向転換するので、置いた部屋の形に沿って魚が回遊してくれます。GPU Instancing で軽量化されているのもポイントです。¥1,200(チーム利用は¥3,600)。
動きはサークル(大小2種+小2)・直線・スパイラルの6種類 を同梱。水中ワールドや幻想的な撮影スポットはもちろん、ライブ会場やラウンジの天井付近に流しても画になるタイプで、こちらも VRC Light Volumes 対応でワールドの光を受けて発色します。PC用ワールド専用(モバイルは対象外)。
フォグ(1位)が「面」で空気を作るのに対し、こちらは「線」で動きを足す——NORIBEN LUNCH さんが1月に出した一連の演出パーティクルは、ワールドに"環境の気配"を足すという一貫したテーマ でまとまっていて、1人のショップでここまで上位を占めるのはワールドカテゴリらしい集中でした。
5位:Calmium / bろくく
リビングと寝室の2部屋でできた、木目基調のホームワールド。前提アセットを入れてシーンを開けばそのままアップロードできる作りで、朝・昼・夜のライティング済みサンプルシーンが用意されているので、好きな時間帯を選んですぐ自分のワールドにできます。¥2,000(チーム利用は¥2,500)。
うれしいのが設置済みのフォトフレームに好きな写真を飾れる 点で、自分の思い出のスクショを部屋に並べる、みたいな使い方ができます。Quest など他プラットフォームにも対応(ナイトモードのみPC専用)で、容量も30MB前後と軽め。一部屋4〜5人想定の少し狭めの空間なので、フレンドと数人でだらっと過ごす用途に寄せた設計です。
完成ワールドとしては、「巨大な多目的空間」ではなく「居心地のいい 狭い部屋」に振り切っている のが好印象。VRChatのホームワールドは広ければいいわけではなく、人がたまる密度を作れるかが効くので、サイズ感から逆算して作られたワールドだと感じます。
6位:AYATECH HoverPlane Flyingfish / あややねさんのおみせ
ワールドに置くだけで乗れる、フワフワした乗り心地のホバークラフト兼航空機。無料の飛行システム「SaccFlight」 に対応していて、対応プレハブを入れた状態でワールドに配置すれば、そのまま飛び回れる乗り物になります。ショップ宣伝企画として無料配布(¥100のお布施オプションあり)。
SF・近未来テイストの機体で、トビウオ(Flyingfish)の名前どおり、水面すれすれを滑空させても空を飛ばしても画になるデザイン。乗り物系はワールドの回遊性をぐっと上げてくれる要素で、広いワールドに1つあるだけで体験が変わります。
ワールドの「中身」は家具や背景だけでなく、こういう乗って遊べるオブジェクトも含まれる のがこのカテゴリの幅。無料で置けるので、自作ワールドに乗り物を足してみたい人の入り口にちょうどいい1点です。
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7位:置くだけ!リアルな海シェーダー / 西風楽団
セットアップ済みのPrefabを置くだけで、リアルな海が広がる海面シェーダー。色や波の細かさを調整でき、遠くが自然に霞んで円形の水平線 が出るので、ビーチや南国リゾートのワールドを手早く作れます。¥750。
海や水面はワールド制作でつまずきやすいパーツの代表格で、自前で作ると波・反射・水平線の処理が一気に重くなりがち。それを「置くだけ」に畳んでくれるのがこの手のシェーダーの価値で、月刊BOOTH3Dカテゴリの2月号にも掲載された注目アセットです。1月の公開後も、波の大きさ調整やDirectional Lightの影響度設定など、こまめに機能が足されています。
「ワー ルド1個まるごと」ではなく「難しい1要素だけ」を商品化する という、7位のシェーダーや9位のパーテーションのような売り方は、ワールド制作者の「ここだけ自作だと大変」をピンポイントで肩代わりする、需要に素直なアプローチです。
8位:プリ機ギミック【めんだこプリ】 / めんだこすいさん加工センター
撮影・らくがき・保存までできる、プリクラ機まるごとのワールドギミック。幅2m × 奥 行き4m × 高さ2.2m ほどの筐体で、ワールドに置けばフレンドとプリクラ感覚で撮影 → らくがき → 印刷(画像保存)まで遊べる、イベントワールドや誕生日会に映える1点です。本体は¥2,000で、印刷(画像保存)機能を外した負荷検証用の無料体験版も別途用意されています。
フレームと背景は自分で用意した9:16の画像を差し替えできる ので、ワールドの世界観に合わせたオリジナルのプリ機にできます。らくがきブースには「つかめる文字ボード」も付属。複数台の設置にも対応していて、ビルド後容量は約12MB(ほとんどがフレーム・背景画像なので削れば軽量化可)。らくがきにはQVPen(無料)を使う構成です。
筐体デザインには「みみのこ」アバターが使われていて、アバター・ギミック・ワールドの要素が1台に混ざっている のがいかにもVRChatらしいところ。撮影需要の強いワールドカテゴリで、"撮る場所"そのものを商品にした発想が効いています。
9位:Partition×4 / Toraba Store
すりガラス調のアクリルパーテーション。高さは200 / 180 / 150 / 120cmの4段階、アクリルのマテリアルも4種類入っていて、差し替えながら使えます。スタンド部分は表示を切り替えられるので、パネルを直角に並べて簡易的な個室を作ることもできる、撮影スペースやオフィス風ワールドの間仕切り向けの1点です。¥200。
ポリゴンは各△192とごく軽量で、半透明越しに背景がふわっとボケる質感がきれい。商品ページでも 「パーテーション以外の3Dモデルは入っていません」 と明記されていて、サンプル画像の観葉植物や椅子は別売り——という、最小単位の家具パーツを1つだけ丁寧に作って安く出す スタイルです。
同じ Toraba Store さんは、後で触れる工業系の照明セットも出していて、家具・照明のような「世界を組み立てる部品」を低価格で揃えるショップ。完成ワールドを買う層とは別に、自分でワールドを組む人向けのパーツ屋 という需要がはっきりあるのが、9位のような商品が上位に入る理由です。
10位:Homely Room / Mimorie.
木のぬくもりでまと めた、生活感のある住まいのワールド。リビングには人が自然と集まるこたつスペース、奥には静かに休めるベッドルーム、キッチンにはダイニングテーブル、さらに外気を感じられるベランダまで備えた、暮らしの導線がそのまま入った1軒です。¥3,000、Top 10では最も高い価格帯。
ライトベイク済みで、ストリングライトやペンダントライトの暖色が効いた夜の雰囲気が作り込まれています(PC対応・Quest非対応)。5位のCalmiumが「2部屋のコンパクトな居室」だったのに対し、こちらはこたつ・寝室・キッチン・ベランダと生活シーンを一通り揃えた"家" で、同じホームワールドでも設計の方向性が違うのが面白いところ。
制作のMimorie.さんは、バーワールドを手がけるどんぐりのお店さんへSpecial Thanks を送っていて、木目・ナチュラル系のワールド作家どうしのつながりも見えます。1月のホームワールドは、この木のぬくもり系 が静かに層を作っていました。
