2026年6月にBoothで公開された新作ギミック・ツールの中から、スキを多く集めた10点をデータと一緒に振り返ります。この月に目立ったのは、元のデータを壊さずに手を入れる「非破壊」の道具が上位に固まったことでした。
首位に立ったのは、VRChat内で見るのと同じ円形メニューをUnity上に再現して、そのまま並べ替えられるようにした道具(7,537スキ)。まずはこの1点から、仕組みと使いどころを順に見ていきます。
📊 データについて 集計日: 2026-08-09 / 対象: 2026-06-01〜2026-06-30 にBoothで公開されたスキ数300以上のギミック・ツール(81件)
注目ギミック・ツール10選
集計時点(2026年8月)のスキ数で並べたランキング形式で、1点ずつ仕組みと使いどころを見ていきます。
1位:Expression Editor / もこぬストア
アバターのExpressionメニューを、VRChat内で見るのと同じ円形のまま並べ替えられるUnity拡張。ギミックや衣装を足していくとメニューはどんどん膨らみ、よく使う項目が階層の奥に埋もれたり、外した改変の残骸が居座ったりします。とはいえメニューの構造はアセットごとに分かれて組まれているので、後から整理しようとすると元データを触ることになる——そこを丸ごと引き受け る道具です。7,537スキを集めて、2位に2倍以上の差をつけた単独首位に立ちました。
編集画面はリストではなく、アイコンも階層もゲーム内と同じホイール型。掴んで動かして放すだけで並び替えられ、サブメニューに重ねれば中へ入り、右クリックから切り取りとコピー&ペーストも使えます。Ctrlを押しながら複数選択、Ctrl+Zで取り消し、といったUnityの作法もそのまま通ります。
いちばん効いているのは、Modular AvatarやNDMFがビルド時に組み上げる「完成形のメニュー」を読み込んで編集できるところです。通常これらはエディタ上に実体がないので手を入れられませんが、「Playして読込」を押すと組み上がった状態を取り込めます。しかも出力されるのはGameObjectが1つだけで、ビルド時にメニューを差し替える方式。気に入らなければそのGameObjectを消すだけで完全に元へ戻ります。
あとから衣装を足してメニューが増えても、新しく増えた項目だけを自動で見つけて「追加」フォルダにまとめてくれるので、整えた並びが崩れません。価格は通常版が¥500、優先サポートとカスタマイズ用のアドオンが付く支援版が¥1,000です。
2位:RQIConverter / reguCreate
PC専用のアバターを、Quest向けとiOS向けへ1つのウィンドウで変換するツール。モバイル対応はシェーダーの置き換え、非対応コンポーネントの削除、容量の確認、プラットフォームを切り替えながらのアップロードと、手順が細かく分かれていて手数がかさみます。RQIConverterはそれをタブの切り替えだけで通せるようにまとめた道具です。3,625スキで2位、¥1,000。
変換は完全に非破壊で、元のアバターには一切手を加えません。クローンを作ってそこに処理を当てる方式なので、何度でもやり直せます。モバイル用シェーダーへの自動変換では色・テクスチャ・発光・法線をできるだけ引き継ぎ、チークや青ざめ、メガネといった半透明の要素も加算と乗算に振り分けて残せます。金属の質感を保つ設定や、見た目をなるべく崩さないポリゴン削減も入っています。
容量まわりの見せ方も丁寧で、パフォーマンスランクを項目別に並べて変換前後を比較でき、アップロード容量は推定から実測まで段階を分けて表示されます。PhysBoneやコライダーは一覧化され、削除後の数がGoodランクの上限に対してどうなるかがその場で分かります。
ほかのツールがビルド時に足してしまうQuest非対応シェーダーを自動で処理するので、「unsupported shader」でアップロードが弾かれる事故も避けられます。最適化先をPCにすればポリゴン削減だけを使ってランクを上げる、という使い方もできます。通常版¥1,000、Beta版も付く支援版が¥1,500です。
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3位:Harune Avatar Enhance / 今日もはるね。
lilToonをベースに、深度を使った影表現を足すアバター向けカスタムシェーダー。髪の内側、衣装の重なり、首元、アクセサリーのまわりといった「物と物が近づいた場所」に自然な陰影を描き足して、アバター全体の立体感と密度を底上げします。3,342スキで3位、¥3,000でTop 10の最高額です。
加わるのはSSAO、接触影、そして画面に映った奥行きから落とす影の3系統。アバターが自分の腕や体に落とす影まで出せるので、同じポーズでも体の前後関係がはっきりします。
導入は専用のインストーラーから。アバターのPrefabかルートを指定して、保存フォルダ名と変換設定、プリセットを選んで実行するだけです。元のマテリアルを上書きせず、コピーを作って変換するので、これまでの改変データを残したまま試せます。影の入りを抑えるマスクも設定できて、初心者はプリセットから、こだわる人は数値を詰めて、 と入口が分かれています。
影の方向にもプリセットが用意されていて、ワールドのライティングに合わせて振れます。カメラの深度を使う仕組みのため、ミラーやカメラごしでの確認が推奨されている点は押さえておきたいところです。
4位:かろやかテクスチャ / らむね
アバターのテクスチャを、顔とチークを守りながら自動で軽くする無料ツール。アバターが重い原因の多くはテクスチャの盛りすぎですが、解像度を一律で 下げると顔までぼやけますし、押すまで結果が分からないのも不安なところです。この道具はそこを「見て・選んで・安全に」できるようにまとめています。3,204スキで4位に入りました。
使い方はアバターを入れて「おまかせ軽量化」を押すだけ。スキャンから原本の保存、最適化まで自動で通ります。強みは守る側の作り込みで、顔・瞳・チークを自動で保護対象にするほか、チークや化粧、入れ墨のような淡い半透明のデカールが圧縮で「濃くなる・境界線が出る」のも防ぎます。メニューやFXで表示を切り替えるデカールを「未使用」と誤判定しないよう、Modular AvatarやVRCFuryのアニメーションまで見て判断する作りです。
使っていないテクスチャやベタ塗りの画像は自動で小さくし、なぜ未使用と判断したかの理由まで表示されます。「Goodにする」のように目標ランクを選べば、そこから必要な分だけ逆算してくれるので、数字を手探りでいじる必要もありません。
安心設計も徹底していて、変更するのはインポート設定だけ、元の画像ファイルは一切書き換えません。実行前に対象すべての原本を保存して検証し、1件でも保存に失敗したら何も変更せずに中止します。戻すときは「今のアバターだけ」と「プロジェクト内の全バックアップ」から選べます。本体は無料で、サポート対応が付く支援版が¥500。PCとQuestの両方に対応します。
5位:よっこらせ(霧散) ギミック / U5D
両手をお尻に当てるとアバターが粒になって砕け、霧になって消えるログアウト演出ギミック。「パァン」というエコー付きの平手音とともに全身が粒状にほどけ、細かい霧が四方へ舞って見えなくなります。復帰はメニューからワンタッチ。2,779スキで5位、¥500。
VRChatでは、話し終えて抜けるときに手を振って消えるくらいしか区切りの付け方がありません。この作品は退場そのものを演出にしていて、ネタとしても、場の締めとしても使えます。当たり判定と 音を変えれば、お尻以外のきっかけで発動させることもできます。
調整できる項目はかなり細かく、霧散の秒数、粒の細かさ、砕け際のぼかしと発光色、霧の色・サイズ・密度・上下位置、音と音量、手とお尻の判定半径と位置まで並びます。判定位置はSceneビューにプレビュー球が出るので、見ながら詰められます。
導入はツールウィンドウからアバターをセットして「セットアップ実行」を押すだけ。Modular Avatarで非破壊マージするので元のアバターは編集されず、霧化のあいだだけマテリアルを差し替える方式です。前屈みのポーズ再生と、暴発を防ぐ機能オフのトグルも付いています。ミルティナ・しなの・海咲で動作が確認されていて、Humanoidリグであれば概ね動きます。
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6位:てとら式すりすりギミック / #nightMEAshop
頬をすり寄せたときに、触れている位置から音が鳴るギミック。ふつうこの手の効果音はアバターの頭のあたりから一律に鳴りますが、この作品は実際に触れ合っている場所を音源にしているので、距離感が自然に伝わります。2,589スキで6位に入りました。
自分がすり寄せるときも、相手からすり寄せられるときも鳴るのが要点で、片方が導入していれば成立する作りです。頭の近くで、すりすりするように動いているときだけ鳴るという条件が付いているので、ただ近づいただけでは反応しません。
音と合わせて入っているのが影の演出です。相手の顔が近づくと、お互いの視界が暗くなります。自分の視界の暗さは最大値と暗くなり始める距離をゲーム内メニューから調整でき、相手から見える影の側もUnityのマテリアル設定で好みに詰められます。近づいたときに視界が狭まるという体験が加わることで、音だけのときより距離が近く感じられる設計です。
導入はModular Avatarで設定済みのPrefabをアバター直下に置き、影のオブジェクトの位置を合わせるだけ。手順の説明用に動画とPDFが同梱されていて、どちらもBooth上で無料枠として別に置かれています。買う前に導入の手間を確かめられる形です。パラメータ使用数は18。通常版¥590、内容が同じ応援枠が¥790。
7位:Pure Skin Material / #さばみそあうるの物置
肌の質感を一段上げるlilToonのプリセット。てかりすぎない範囲で健康的な肌に寄せることを狙った設定で、マテリアルのプリセット欄から選ぶだけで当たります。2,307スキで7位、¥300。
中身は3種類。標準の「PureSkin」のほかに、影のぼかしを弱めた「PureSkin_EdgShadow」と、光沢を外した顔用の「PureSkin_Face」を同梱しています。顔には光沢を乗せたくない、影の輪郭ははっきりさせたい、といった好みで使い分けられる分け方です。設定済みなのは影・リムシェード・逆光ライト・光沢・MatCap・距離フェードで、ノーマルマップは手持ちのものを合わせる前提になっています。
商品ページには白目が黒くなるときの対処や、影のマスクが入っていると違和感が出る場合の外し方といった、つまずきやすい場所への対 応がひととおり書かれています。lilToonの影設定をSDFに戻す手順まで案内されていて、プリセットを当てたあとに自分で詰めるところまで見越した作りです。
女性アバターだけでなく男性アバターの作例も並んでいて、体型やテイストを問わず使えることが示されています。¥300のほか、内容が同じ¥500の応援枠が並びます。
8位:VectorSystem / カニカマは実質カニ
指先を銃の形にすると幾何学的なHUDが展開し、形を変えると弾が飛ぶギミック。四角い枠と線が空中で組み上がっていく展開のアニメーションに、制作者がいちばん時間をかけたと書かれている1点です。1,971スキで8位、¥700。
操作は3つのハンドサインだけです。銃の形でHUDが開き、別の形にすると発射され、グーにするとパーティクルがその場で静止します。静止した状態をワールドに固定できるので、展開したHUDを背景に置いて撮影する、といった使い方がそのまま通ります。
メニューからはHUDだけを出して弾を撃たないモード、HUDとパーティクルの色相変更、HUDの角度調整が選べます。効果音は自分だけに聞こえるローカルと、周りにも届くグローバル、消音の3択。左右どちらの手にも対応し、Prefabを2つ入れれば両手持ちにもできます。パーティクル数は760、Particle Systemは7と軽量です。
カニカマは実質カニさんは同じ6月に、傘の膜へ景色を映すギミックも公開しています。光の粒で場の空気を作るという方向で、小道具のカテゴリでも上位に入りました。
9位:Outfit Scale Fitter / ENNEA
シーンの中にある衣装のスケールと回転を、アバターの値へ一括で合わせる無料ツール。体型を変えるたびに、衣装ごとにSetup Outfitをやり直して、MA Merge Armatureを開いて……という往復が発生しますが、この道具はシーンに置いてあるぶんをまとめて処理します。1,907スキで9位に入りました。
ウィンドウを開くと、シーンに含まれるアバターと衣装が一覧で並びます。調整したい衣装にチェックを入れて実行するだけで、Scale・Rotation・Scale Adjusterの値がアバター側に揃います。実行直後ならCtrl+Zで戻せます。
細かいところでは、髪型やアクセサリーのようにHeadボーンより下を触られたくないものを除外できるオプションと、ヒエラルキーからドラッグ&ドロップで登録する除外リストが用意されています。親のオブジェクトを入れれば子もまとめて登録されるので、衣装が増えても管理が楽です。Scale Adjusterの値を扱うにはRerigferlさんのCopy Scale Adjusterが必要になります。
体型を詰めるほど衣装側の追従作業が増えるという、改変を続ける人ほどぶつかる往復に的を絞って、無料で置かれた1点です。
10位:SIUSIU用もちふぃった~対応データ / エカシリコン
他のアバター向けの衣装を、SiuSiuに着せられるよう変換するためのプロファイル。衣装の自動変換ツール「もちふぃった~」に読ませて使う対応データで、作者から許可を得た公認プロファイルとしてリリースされています。1,871スキで10位、¥500。
対象のSiuSiuは、同じ2026年6月のアバター編で単独首位に立った1体です。新しいアバターが出た月のうちに、衣装を横断させるための下地が用意される——という流れが、そのままランキングに表れた形になっています。
対応するシェイプキーは胸のサイズやヒールの上げ下げ、ブラの形など13種類。加えて 服全体をゆったり寄せる「Yuttari」と、ぴったり寄せる「Pittari」というフィット感調整用のキーが入っていて、貫通したときや、もう少し身体に沿わせたいときの逃がしどころになります。SiuSiuは標準状態で爪がかなり長いため、手袋を着ける際は爪を短くするシェイプキーを使うように、という注意も添えられています。
エカシリコンさんは新しいアバターが出るたびにこのプロファイルを作り続けているクリエイターさんで、2026年5月のこのレポートでも同じ枠で登場していました。アバター側でも衣装側でもない、その間をつなぐ役割が続けて上位に入っています。
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2026年6月の傾向
ランキングだけでなく、2026年6月にBoothで公開された81点のギミック・ツール全体から見えてくる傾向を、データで見ていきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 対象件数 | 81 件 |
| 平均スキ数 | 950 |
| 中央値スキ数 | 613 |
| 平均価格 | ¥514 |
| 中央値価格 | ¥500 |
| 無料商品の割合 | 36%(29 / 81件) |
