顔のトラッキング導入、色合わせ、体型コピー、軽量化——2026年3月にBoothで公開されたギミック・ツールの新作は、改変ワークフローの面倒な工程をそれぞれ専門のツールが引き受ける、道具寄りの月になりました。そこに、メーカー公式ショップの本格参入という、このカテゴリでは初めての動きが重なっています。
首位に立ったのは、フェイストラッキングの導入を3ステップに圧縮する¥3,500のエディタ拡張(5,351スキ)でした。まずはこの1点から順に見ていきます。
📊 データについて 集計日: 2026-07-13 / 対象: 2026-03-01〜2026-03-31 にBoothで公開されたスキ数300以上のギミック・ツール(113件)
- 注目ギミック・ツール10選
- 1位:ふぇいとらでき~る / はむ屋
- 2位:TextureColorKit / kobokits
- 3位:Silhouette+ / qbshop
- 4位:liltoon Material Editor / ぐれんちゃんぐ
- 5位:EasyAvatarOptimizer / toomov
- 6位:すけすけ位置合わせツール / kokoa factory
- 7位:CB1000 Hornet SP / Honda Motanion公式アバター販売
- 8位:EX Menu Manager / ADDTools
- 9位:Unity AI Helper / れもねるうるねる
- 10位:脳内に直接語りかけていますギミック / ぶんふぃにてぃ
- 2026年3月の傾向
- まとめ
- 2026年3月のほかのカテゴリ
注目ギミック・ツール10選
集計時点(2026年7月)のスキ数で並べたランキング形式で、1点ずつ仕様と作り込みを見ていきます。
1位:ふぇいとらでき~る / はむ屋
1月レポートで3位だった「ギミックつく~る」を制作されたはむ屋さんの新作で、VRChatのフェイストラッキング(VRCFaceTracking)設定を自動かつ非破壊で導入できるUnityエディタ拡張です。集計時点(2026年7月)のスキ数は5,351で3月のギミック・ツール首位。価格は¥3,500で、1〜3月の首位作品の中で最も高い値付けです。
このツールの肝は、「アバターをセットして3ステップ操作するだけで顔が動き出す」 という導入のハードルの低さです。アバターごとに違うシェイプキー名を、内蔵辞書と頂点の移動方向・影響領域の解析から自動推論してフェイストラッキング用にマッチングし、結果は Modular Avatar 経由で非破壊統合される設計。専用機材がなくてもスマホやWEBカメラを顔トラデバイス化する環境設定ウィザードまで同梱されていて、「機材が要る」「アバター毎に対応データが要る」「Unity設定が難しい」という顔トラ導入の3つの壁を、ツール側でまとめて引き受けています。
途中で公開された後継版「ふぇいとらでき~る2」は、購入者は無料でダウンロードできる扱いです。1つの動きに複数シェイプ キーを割り当て・シェイプキー限界突破・入出力の信号調整・エディタ上のライブプレビュー・リップシンクやまばたきとの自動干渉防止・.ftprofile でのプロファイル書き出し(配布可)と、顔トラ改変まわりを一通り内蔵しています。日本語・英語・韓国語・中国語・スペイン語のローカライズ対応で、UI/UX設計やPR動画など制作協力者を立てた体制で作られているのも、高単価ツールらしい作り込みです。
2位:TextureColorKit / kobokits
テクスチャの色変更・AO焼き・顔影SDF生成・マテリアル/メッシュ最適化を、Unityだけで完結させるエディタ拡張です。PhotoshopやGIMPを開かずに、色替えからマップ生成・PNG保存まで全部Unity内で終わらせる構成で、集計時点で4,970スキ。¥1,000です。
特徴的なのが、人間の目に均一に見えるCIELCH色空間で色を調整する点です。Shift(色相を相対回転)/Replace(色相を絶対固定、無彩色や白黒にも着色可)/Gradient(UVアイランド単位で方向グラデ)の3モードがあり、欲しい色を指定するとテクスチャを自動解析して最適パラメータを当てる自動カラーマッチも搭載しています。さらにアニメ調の顔影SDFマップを自動生成する機能があり、lilToonの_FaceShadowTexture互換フォーマットで出力、10種アバターのSDFプリセットも同梱されています。
GPUのレイトレーシングで高品質AOマップを高速ベイクする機能、手続き型ノーマルマップ生成、UVアイランドを視覚選択してマスクをPNG書き出し——と、改変者が外部ペイントソフトでやっていた作業をUnity内に丸ごと取り込んだ作りです。日本語・韓国語・英語の3言語UIで、マニュアルもNotionで多言語整備。月内のv1.0公開後も継続更新が続いていて、4〜5月にかけて顔影SDFベイク・ノーマルマップ生成・Texture/Material/Mesh Merge(最適化)が順次追加されています。
3位:Silhouette+ / qbshop
「このアバターの体型いいな」と思ったときに、身長・頭身バランス・脚長などを別アバターへコピーできる体型調整ツールです。お手本アバターを指定すると、Unityシーンに並べたときに高さと頭身が自然に揃うように体型を近づけてくれる作りで、コピー後はスライダーで微調整できます。集計時点で4,095スキ、¥500です。
お手本がなくても、お兄さん/お姉さん/少女・少年/モデル(脚長体型)/幼児(SD体型)のクイックプリセットから体型を作れて、首・胴体・腰ヒップ・腕・脚・手足サイズなどを部位別にスライダー調整。オプションで同名ボーンを持つ衣装リグや髪リグにもスケールを反映できるので、体型を変えたときに衣装や髪が追従しやすくなります。ボーンスケールを変える方式(メッシュは触らない)なので、極端な変形は破綻するという注意書きも正直に書かれていて、「素体で体型調整 → その後に衣装を着せる」というワークフローを推奨する形です。月内のv1.0公開後、英語UI対応・衣装へのスケールコピー追加・胸板の微調整軸追加など、改変者のフィードバックを受けた更新が続いています。
4位:liltoon Material Editor / ぐれんちゃんぐ
lilToonマテリアルを「複数まとめて」編集できるUnityエディタ拡張です。集計時点で3,749スキ、Top 10 で最初に現れる無料公開枠です。アバター制作時の微調整や量産作業を時短したい人向け、と用途がはっきり絞られています。
ヒエラルキー選択と自動同期して対象のlilToonマテリアルを自動収集し、カテゴリ単位/プロパティ単位で「どこを変えるか」を細かく選んで、選択マテリアルへ一括適用できる作りです。「複製して適用」で元マテリアルを保持したまま差し替えられて、直前の適用を戻すRevertもあるので、量産作業で同じ調整を何十 マテリアルにも当てるときの手戻りが小さく済みます。やることを「lilToonマテリアルの一括編集」だけに絞り切った潔さが、無料での Top 10 入りの理由が分かるツールです。日本語/英語のUI切り替えに対応しています。
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5位:EasyAvatarOptimizer / toomov
「めんどくさいから軽量化していない」人向けに作られた、Prefabをアバター直下に置くだけで軽量化が終わるツールです。集計時点で3,224スキの無料公開で、Top 10 の無料枠の中でも導入ハードルの低さに振り切った1点です。
このツール自体が何かを直接圧縮するのではなく、AAO(Avatar Optimizer)・Avatar Compressor・d4rkAvatarOptimizer・Meshia Mesh Simplification・VRCFury・NDMF という既存の定番OSS軽量化ツール群を、セットアップ画面から一括導入してPrefab一個に束ねているのが設計の核です。導入を簡単にするセットアップ機能と、必要コンポーネントを自動でアバタールートへ非破壊移動するシステムを用意して、「軽量化の知識がなくてもPrefabを置けば終わる」状態を作っています。画質を劣化させすぎない設定に寄せている一方、細かく詰めたい人には非推奨と正直に線引きしているのも好感が持てます。1月首位だった無料のアバター軽量化ツール「LAC」と同じく、無料 × 軽量化という系譜が3月も継続して上位に入った形です。
6位:すけすけ位置合わせツール / kokoa factory
服やアクセサリーの位置合わせで「奥行きがわからなくて配置しづらい」を解決する補助ツールです。好きなところをスケスケ(半透明)にして、内側がどうなっているかを見ながら位置を合わせられる、というシンプルな着想の1点です。集計時点で3,018スキの無料公開で、アップロードしたものには反映されない(Unity作業時だけのプレビュー用途)設計です。
髪の内側・腕まわり・ブーツの 中といった「外からは見えないけど位置合わせで困る部分」をスケスケにして合わせる使い方が想定されていて、MA対応・非破壊・ボタンで簡単オンオフという扱いやすさが揃っています。対応シェーダーはlilToonとPoiyomi。ライセンスはMITで、GitHub公開 + VPMリポジトリ化までされていて、改変支援ツールにおけるOSS配布の流れがこのカテゴリで定着しているのが見て取れます。
7位:CB1000 Hornet SP / Honda Motanion公式アバター販売
Honda 公式ショップによる、アバター用のバイクギミックです。実車「CB1000 Hornet SP」を再現したバイクをアバターにセットアップして、メニュー操作やVRモードでの直感操作で乗り回せます。集計時点で2,689スキ、¥5,000。自動車メーカーの公式ショップがこのカテゴリの Top 10 に入るのは、本連載で初めてのことです。
操作の作り込みが「乗り物ギミック」の水準を超えていて、EXメニューからの表示・ワールド固定・スタンド展開・ウインカー/ハザード/ハイビーム・ホーンに加えて、VRモードでは鍵穴の近くでトリガーとグリップを引いてキーを回し、スロットルをひねるとその角度でエンジン音が滑らかに変化します。ポリゴン数は△774,651・マテリアル82と実車再現に振り切った重さで、少人数インスタンスでの利用を推奨する注意書きも明記。VRChatワールド「Honda Motanion Lab」で購入前に試乗できる導線まで用意されています。
公開後の更新も本格的で、パーツ統合による軽量化アップデートに続いて、7月にはポーズ調整機能つきのセットアップツール(従来非対応だったアバターにも導入可能)とステッカー機能が追加さ れました。Discord や X で集めた意見を反映したと明記されていて、lilToon + Modular Avatar という改変文化側の作法に正面から合わせてきた参入です。
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8位:EX Menu Manager / ADDTools
エクスプレッションメニュー(EXメニュー)やパラメーターを、簡単に無効化・削除できる管理ツールです。集計時点で2,634スキの無料公開です。各メニュー項目やパラメーターのON/OFFを設定することで、意図しないシェイプキー制御による改変の破綻や、パラメーター不足を解消できます。
メインメニュー・サブメニューを個別にON/OFFでき、Modular Avatarで追加・制御されている項目も対象です。EXメニュー側でOFFにしたものと同名のパラメーターは自動でON/OFFされる設計で、パラメーターのSyncedも個別に切り替えられます。プレビューで数値を確認しながら調整でき、復元機能も付いているので、「同じアバターでも用途ごとに設定を変えたい」「メニューやパラメーターを毎回いじるのが面倒」という改変初心者の不満をまるごと引き受ける位置づけです。ADDToolsさんはマテリアル設定を一括編集できる無料の「Material batch Changer」も3月に出していて、メニュー管理とマテリアル管理の両方を無料ツールで埋めにきているのが特徴です。
9位:Unity AI Helper / れもねるうるねる
Unityのコンソールに出たエラーを、ワンクリックでAIに原因と解決策を聞けるエディタ拡張です。人気ギミック・ツール「Avatar Blink Fix」を制作されたれもねるうるねるさんの新作として3月に無料公開され、集計時点で2,587スキを集めています。
エラーをコピペして翻訳して検索して……という手間を、Unity内のボタン1つに圧縮するのが核です。VRChat SDK・Modular Avatar・lilToon・Poiyomi といったVRChat関連ツールに特化したAI知識を持たせてあるのが普通の汎用AIと違うところで、類似エラーを自動でグルーピングして大量のエラーもまとめて問い合わせできます。回答レベル(初級=手順を丁寧に/中級=メニューパス込み/上級=コード中心)の切り替えにも対応し、AIはGoogle AI Studioの無料枠(Gemini API)を使うため追加課金も不要という構成でした。
なお本ツールは、2026年6月末のUnity利用規約の更新内容を確認した作者さんが、Unity由来のログや画面情報を外部AIサービスへ送信する仕様に懸念が残るとして、公開配布を自主的に停止しています。規約違反と断定されたわけではない段階での判断で、既にダウンロード済みのユーザーへの注意喚起まで商品ページに明記された、誠実な対応です。2月10位「UnityAgent」(自然言語でUnity操作を代行するAIエージェント)に続いてAI改変支援がTop 10入りした事実とあわせて、後段のクリエイター視点でもこの動きに触れます。
10位:脳内に直接語りかけていますギミック / ぶんふぃにてぃ
手や頭から自分にしか見えない透明の球を出して、それを相手の頭にかぶせると、その人にだけ事前設定した音声を聞かせられるネタギミックです。集計時点で2,415スキ、¥300。Top 10 がほぼツール(エディタ拡張)で埋まった3月の中で、純粋なランタイム演出ギミックとして並んだ数少ない1点です。
音声は4つまで設定でき、インバイトの音やその場にいないフレンドの声を聞かせて慌てさせたり、複数人で話しているときに二人だけ抜け出すお誘いをしたり、といった使い方が想定されています。右手から出る版・左手から出る版・頭から出る版があり、デスクトップ勢は頭から出る版を使う構成です。「仲の良いフレンド間でお使いください」と注意書きが添えられている、距離感の近い遊び向けのギミックです。Modular Avatar設定済みでPrefabをドラッグ&ドロップして音声を設定するだけ、と導入も軽めです。
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2026年3月の傾向
ランキングではなく、3月にBoothで公開された113点のギミック・ツール全体から見えてくる傾向をデータで把握していきます。
| 指標 | 値 |
|---|---|
| 対象件数 | 113 件 |
| 平均スキ数 | 1,026 |
| 中央値スキ数 | 598 |
| 平均価格 | ¥725 |
| 中央値価格 | ¥500 |
| 無料商品の割合 | 約33%(37 / 113件) |
| ¥1,000未満の割合 | 約79%(89 / 113件) |
| Top 10 のうち改変支援(エディタ拡張)系 | 8件(#1〜#6 / #8 / #9) |
| Top 10 のうちランタイム演出系 | 2件(#7 バイク / #10 ネタギミック) |
中央値価格は2月の¥300から¥500へ戻り、無料の割合も約37%から約33%へ落ち着きました。対象件数は104件(1月)→ 126件(2月)→ 113件(3月)と高い水準を保ったまま、中央値スキ数は598へ低下。裾野の広さは維持しつつ、「無料で配るだけでは目立てない」選別が一段進んだ月という輪郭です。
特徴・機能:MA対応が約6割、実態は改変支援ツールへの集中
特徴・機能 TOP10
商品の特徴や機能・ギミック種別の分布。
特徴タグの集計は MA対応65件(約58%)が頭ひとつ抜けた首位で、lilToon対応41 / パーティクル21 / シェイプキー12 / デスクトップ対応9 / ワールド固定9 と続きます。頻出キーワードは 無料40 / MA対応34 / ギミック32 / エディタ拡張25 / 改変23 / 撮影向け22 の並びで、「Unityエディタ上で改変作業そのものを助ける道具」を指す語の厚みは、Top 10 の8件がツールで埋まった構図と完全に整合しています。
lilToon対応の枠から、色改変の「なんか違う」を突き止める無料ツールが登場しました。
ぷこるふの倉庫さんの「MaterialShadowSync」は、複数のアセットを組み合わせて色を合わせたのに何かが違う——その原因の多くを占める影設定の色・値のズレを、非破壊で同期する無料ツールです。VPM経由での配布に一本化されていて、アップデートもVPMから届く運用。単機能の無料ツールが特定の「困った」を正確に射抜く、3月のカテゴリらしい1本です。
デスクトップ対応の枠では、対人距離そのものをギミックにした1点が 目を引きます。
シリアルのお店さんの「PersonalSpace」は、他プレイヤーが近づくと自動で距離を取ってくれる、人混みや距離感のストレスに向き合った自動回避ギミックです。接近された方向とは逆へ滑らかに移動し、死角からの接近は音で知らせてくれます。¥800。改変支援ツール一色の月に、「VRChatでの過ごし方」そのものを支援する珍しい角度から並びました。
対応モデル:ミルティナ・リルに「変換データ」のニッチが続く
対応モデル TOP10
対応しているアバターモデルの分布。
対応モデル軸の集計はミルティナ4 / リル4 / しなの3 / まよ3 / キプフェル3。ツール系は「Humanoidなら基本動く」と謳う商品が多いので件数は小さいものの、ギミック側がサンプルや動作確認に真っ先に使う標準アバターの顔ぶれは1〜2月から変わっていません。
このモデル軸で3月に厚みを増したのが、「特定アバター × 特定改変システムをつなぐ変換デ ータ」というニッチです。
エカシリコンさんの「Mayo / まよ用もちふぃった~対応データ」は、もちふぃった~対応の衣装をまよに変換するためのプロファイルデータです。豊富なシェイプキーで体型調整ができる作りで、順変換・逆変換の両対応、¥600。エカシリコンさんは同月に Lowtus 用の対応データも公開していて、さらに別のクリエイターさん(Limernの真空工作室さん)からもまよ用の同種データ(¥500)が同月に並走しました。アバター本体でもツール本体でもない「変換データ」という商品ジャンルが、複数の作り手を集める市場に育ちつつあります。
ミルティナ対応を厚く取ったペットギミックも、モデル軸の代表格です。
はいぱーつよつよさんの「獄門しのぶ」は、忍術を使う狛犬忍者のペットギミックです。デザイン担当に乃々テンシアさんを迎えた「ののつよ」ブランドの第2弾で、35体以上のアバターに対応し、アバター化のおまけPrefabまで同梱。カテゴリ別パック各¥1,200/フルセット¥1,500です。1月の小道具レポートで話題にした「オフィスチェア」の作者さんでもあり、カテゴリをまたいで遊び心のあるギミックを出し続けている1組です。
リル対応の枠からは、表情の自動化に振った低価格ギミックが並びました。
マサカ煮屋さんの「Touch me - RIRU」は、顔・キス・ケモミミ・胸・下半身の5か所へのタッチに反応して、触れられた部位に応じた表情へ自動で変化するリル用ギミックです。¥250。2月に体型スライダー「ちちをもれ!」を3位へ送り込んだマサカ煮屋さんが、今度は特定アバター向けの表情ギミックという別の角度で続いています。
価格帯:無料が約33%、¥5,000以上が初めて3件
価格帯分布
対象期間にこのテーマで公開された商品の価格帯分布。
価格分布は無料37 / ¥1〜499が19 / ¥500〜999が33で、ここまでで89件(約79%)。¥1,000〜1,999は15件、¥2,000〜2,999と¥3,000〜4,999が各3件、そして¥5,000以上が3件——この最上位帯に商品が並ぶのは、本連載のギミック・ツールレポートで初めてです。7位の Honda 公式バイク(¥5,000)と、後述するホビーメーカーのペットギミック(¥8,800)がこの帯を作りました。
無料枠の代表は、困りごと特化の単機能ツールです。
つっきーの雑貨店さんの「VRchat向け Youtube動画URL変換ツール」は、VRChat内でYouTube動画が再生できないときに、URLを貼ってボタンを押すだけでVRChat互換形式に変換してコピーできる無料のWindowsソフトです。集計時点で1,763スキ。「小さな困りごとに対する単機能ツール」が無料でしっかり支持を得る、このカテゴリの無料層の典型例です。
¥1〜499帯からは、VRChatの新機能に即応した1点が入りました。
るうくん趣味工房さんの「CelestialJudgmentRay」は、VRChatが対応したばかりの Raycast を使ったロックオンレーザーギミックです。壁やプレイヤーにレーザーの方向を固定でき、遠隔ワールド固定ギミック「ObjectLauncher」は無料配布、レーザー同梱版が¥320という構成。プラットフォームの新APIに小さく速く乗る、ギミック作家らしいフットワークの1本です。
¥500〜999帯には、前回のレポートで Top 10 に入っていたシェーダープリセットが引き続き並んでいます。
Lawdamassyしょっぷさんの「なんでもチョコミントブループリセット for Poiyomi」は、当てるだけでアバターをまるごとチョコミント系の色味に振り直せるPoiyomi用プリセットで す。アニメ調とリアル調の2通りが基礎で、¥600。「Poiyomiがよくわからない」人でも一発で世界観を寄せられる手軽さで、ツール一色の上位帯のすぐ下を支えています。
そして最高価格帯の¥8,800には、ホビーメーカー発のペットギミックが入りました。
ホビージャパンVR部さんの「バーチャル・ジェノブレイカー」は、『ゾイド』シリーズの機体「ジェノブレイカー」を©TOMY表記の公式ライセンスのもとでペットギミック化した1点です。ゾイドムービングキットの上位ブランド「AZ」の造形をもとに、アバターの後ろを追従し、地上・空中それぞれのモーションで荷電粒子砲を発射します。どのアバターでも使える追従方式で、サンプルアバターも公開済み。Honda 公式バイクと並んで、メーカー・ブランドの公式参入が最上位価格帯を新設した3月の象徴です。
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クリエイター視点で見る3月のトレンド
ギミック・ツールカテゴリの読者にはツール作家・ギミック作家・改変者が多く混じっているので、Top 10 と3月全体の数字からクリエイター側に響きそうな指標をまとめておきます。
| 指標 | 2026年1月 | 2026年2月 | 2026年3月 |
|---|---|---|---|
| 対象件数 | 104 件 | 126 件 | 113 件 |
| 中央値価格 / 中央値スキ数 | ¥500 / 726 | ¥300 / 696 | ¥500 / 598 |
| 無料商品の割合 | 約24%(25 / 104) | 約37%(47 / 126) | 約33%(37 / 113) |
| Top 10 のうち改変支援(エディタ拡張)系 | 7件 | 6件 | 8件 |
| Top 10 で完全無料公開 | 2件 | 2件 + 時限無料1件 | 5件 |
| ¥5,000以上の商品 | 0件 | 0件 | 3件 |
ツール作家注目ポイント:
-
無料は「量」から「質」の局面へ — カテゴリ全体の無料率は約37% → 約33%へ落ち着いた一方、Top 10 の完全無料は2件から5件へ増えました。上位に入った無料ツールはマテリアル一括編集・軽量化・位置合わせ・メニュー管理・AIエラー解決と、いずれも特定の工程を正確に射抜く単機能特化型です。無料で出すなら上位を取れる実用度が要り、有料で出すなら¥3,500の顔トラ自動導入のように「手間を丸ごと消す」水準が要る——2月に見え始めた選別が、3月の数字でよりはっきりしました。
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メーカー・ブランドの公式参入が最 上位価格帯を新設した — Honda 公式ショップのバイクギミック(¥5,000・7位)と、ホビージャパンVR部の『ゾイド』公式ペットギミック(¥8,800)が並び、これまで空白だった¥5,000以上の帯に初めて3件が入りました。注目したいのは参入の作法で、両者とも lilToon + Modular Avatar の現行スタックに準拠し、試乗ワールドやサンプルアバターで「試してから買う」導線まで用意しています。個人クリエイターの文化に企業側が合わせてきたこの形は、カテゴリの価格上限と読者層を同時に広げる動きです。
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AI改変支援と、プラットフォーム規約という新しい変数 — 2月10位のUnityAgentに続いて、3月はエラーをAIに質問できる無料ツールが9位に入り、AIを改変者の隣に置く流れは2か月連続で上位に現れました。一方でそのツール自身が、6月末のUnity利用規約の更新を確認した作者さんの判断で公開停止に。規約違反と断定される前の自主的な対応で、既存ユーザーへの注意喚起まで含めた誠実な幕引きでした。外部サービスと連携するツールは、機能だけでなく規約の変化もリスクとして織り込む——AI時代のツール作家に共通する宿題が、具体的な形で現れた月です。
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公開後のアップデートが上位の共通装備(3か月連続) — 首位のふぇいとらでき~るは後継版「2」を購入者へ無料提供し、2位のTextureColorKitは月をまたいで顔影SDFベイクやメッシュ最適化を追加、3位のSilhouette+はフィードバックを受けた調整軸の追加が続き、7位のHonda公式バイクまでもが軽量化 → セットアップツール → ステッカー機能と大型更新を重ねています。「リ リース後も育てる」ことがこのカテゴリの標準動作である構図は、1月から3か月変わっていません。
まとめ
2026年3月のギミック・ツールは、Top 10 の8件を改変支援のエディタ拡張が占める、道具寄りの月でした。顔トラ導入・色変更と顔影SDF・体型コピー・マテリアル一括編集・軽量化・位置合わせ・メニュー管理——改変ワークフローの工程ひとつひとつに専門のツールが立ち、無料5件と¥3,500の首位が同じランキングに同居する。無料の裾野と高機能有料の頂点がそれぞれ研ぎ澄まされていく、このカテゴリらしい構図が一段進みました。
そして3月をこのカテゴリの節目にしたのが、Honda 公式のバイクギミックと『ゾイド』公式のペットギミックによる、メーカー公式ショップの本格参入です。どちらも現行の改変スタックに準拠し、試してから買える導線まで整えた上で、これまで空白だった¥5,000以上の価格帯に旗を立てました。個人のツール作家たちが磨いてきた「配り方・育て方」の文化に、企業までもが同じ作法で加わってくる——ギミック・ツールカテゴリの厚みがまたひとつ増した月として、この先の連載でも振り返ることになりそうです。
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2026年3月のほかのカテゴリ
2026年3月にBoothで公開された新作は、カテゴリ別に月次レポートとしてまとめています。
- 【2026年3月】VRChat人気「アバター」ランキングTOP10|Booth傾向分析
- 【2026年3月】VRChat人気「衣装」ランキングTOP10|Booth傾向分析
- 【2026年3月】VRChat人気「髪型」ランキングTOP10|Booth傾向分析
- 【2026年3月】VRChat人気「アクセサリー」ランキングTOP10|Booth傾向分析
- 【2026年3月】VRChat人気「小道具」ランキングTOP10|Booth傾向分析
- 【2026年3月】VRChat人気「ワールド」ランキングTOP10|Booth傾向分析
データについて
- 集計日: 2026-07-13(初出公開時の集計日: 2026-05-16)
- 集計対象: 2026-03-01 〜 2026-03-31 に Booth で公開されたギミック・ツール(113件)
- ランキング基準: 集計時点での
like_count(スキ数)降順 - ブラッシュアップ: 本記事は2026-07-13に構成を最新フォーマットへ更新し、ランキング・統計も同日の再集計値へ差し替えています
- 掲載条件: VRCFinderのDBには スキ数300以上の商品 のみを収集しているため、集計時点でスキが300に達していない商品はこの集計に含まれていません
- 注意: 本記事の数値・ランキングは集計日時点のスナップショットです。その後の変動を反映していないため、現在の数値とは異なる場合があります。また「公開」はBoothの商品ページが公開された時期を指し、実際の販売開始時期とは異なる場合があります
- 各商品の対応モデル・スペック・価格は Booth 商品ページに基づきますが、記事執筆時点の情報です。セール価格・アップデート情報は変わる可能性があるため、購入前に Booth 商品ページをご確認ください











